みなさんこんにちは!プロト車両事業部のカジノです。
プロトと言うとその名前をご存じの方は、様々なバイクパーツを手掛ける企業というイメージが強いと思いますが、私が所属する車両事業部では車体もガッツリ!手がけております。2017年まではロードホッパーというオリジナルバイクを企画販売しておりましたし、今年2021年3月にはイタリアの古豪バイクメーカー「BENELLI(ベネリ)」の輸入販売も始めました。そんな我々が新たなチャレンジとして昨年秋より販売しているのが電動スクーター「GEV600」です。
「ロードホッパーって何?」「ベネリってどんなバイク?」と、こちらにもご興味いただいているかと思いますが、それらはまた別に機会をいただくとして、今回はGEV600についてご紹介をさせていただきます。
さて、そんなGEV600ですが、何故我々が電動スクーターを発売するに至ったのかについて、まずはご説明しますね。
何故、電動スクーターなのか
プロトでは、二輪の電動化にいち早く着目をし「PLOT e-vision」のコンセプトを掲げ、2017年よりベネリE-Bikeの販売を開始しました。
それまで、俗に言う「ママチャリ」スタイルの電動アシスト自転車は普及していましたが、「E-Bike」なるカテゴリーはまだまだ馴染みが薄かったのではないでしょうか。そんなE-Bike黎明期に我々はマウンテンバイクタイプのE-Bike「TAGETE(タジェーテ)」を市場投入。
上:TAGETE 27.5 下:mini Fold 16 popular プラス
ベネリE-bikeはその後、最大のヒット作となりましたmini Fold 16シリーズを発売するなど車両ラインアップを増やし現在に至ります。コロナ禍においてE-Bike市場が一気に拡大したこともあって、すっかりベネリブランドのE-Bikeはメジャーな存在となりました。
そんなE-Bike事業に続く電動モビリティーを模索する中で、いよいよ、王道とも言える電動バイク事業を立ち上げるに至ったのです。
と、文字に起こすと何だかカタッ苦しい感じですが、それまで電動バイク、電動スクーターって海外製のマイナーな物であったり、国内バイクメーカーさんの商品であったり、度々市場に投入はされたのですが、今一つ、いや二つ?いやいや全然定着してないんですね。今後、近い将来間違いなく訪れるであろう乗り物の電動化。四輪はハイブリッド車は当たり前、100%電動車だって見かけることは珍しくなくなりました。先に触れた電動アシスト自転車やE-Bikeももはや当たり前の存在。電動化は着々と進んでおります。
それにしちゃぁバイクの電動化って随分遅れてないか?
「バイク」って大きなくくりで考えたら、Funな要素を多分に求めるカテゴリーでありまして、「テイスト」なんて表現される部分はまだまだ内燃機にかなわないかもしれない。
ならば、実用面ではどうだ?使い方やシチュエーションによっては電動の方が勝る部分もあるよね?もちろん、脱炭素化の流れも。
そんな想いから電動バイクを普及させるためにはまずは実用車。それもなるべく身近な方が良いと考え、普通免許でも乗れる原付一種(排気量50cc以下)カテゴリーの電動スクーターを手掛けるに至りました。
我々の手掛けたGEV600で、電動スクーターを市場に定着させるぞ!!
なんて、なかなか志の高いプロジェクトなのでございます。
改良開発と三要件
さてさて、そんなGEV600でございますが、こちらはプロトのオリジナルではなくベースとしたモデルがございます。電動先進国中国の電動モビリティーメーカーGOCCIA(ゴッチア)社のモデルをベースに改良開発を施しています。
難しい言葉使いやがって「改良開発」って何だ?
ここで我々が使う改良開発とは、既存の製品を市場が求める要件に合うよう、我々が持つ知見と技術を反映し仕立て直すことです。
具体的な改良点については今後の記事で触れさせていただきますのでお楽しみに!日本市場投入にあたり、あらゆるところに手を加えております。
さぁ、命題であります電動スクーターを市場に定着させるために、我々は三つの開発要件を設定しました。
①買い求めやすい価格の追求
②乗り物としてのサービス体制の追求
③ガジェット(気の利いた小道具・電子機器)としての使いやすさの提案
まずは一つ目「買い求めやすい価格の追求」
四輪自動車にしても、E-Bikeや電動アシスト自転車にしても、ガソリン車に比べ価格設定は高め。まず、ここを覆しました。
改良開発によるコストアップも何とかこらえ、価格を巷のガソリンススクーター同等の162,800円(税込車両本体)としています。ガソリン車と比べ構造がシンプルでメンテナンスにかかる費用も少ない電動車なので、車両の購入価格はもちろんですが維持費もグッと抑えられ、そのメリットはより大きく。
続いて、乗り物としてのサービス体制の追求
10年以上前でしょうか、一時期海外製の電動スクーターが一斉に日本に上陸したことがありました。価格もGEV同様に十分ガソリンスクーターと勝負できるものでしたが、数年後、まるで何事もなかったかのように市場から消えました。これ、一部バイク屋さんでは黒歴史と捉えられていたりしまして、「ウチは電動なんか絶対扱わないよ!!」なんてショップさんがいるとかいないとかは別にして、電動スクーターに関してネガティヴなイメージがついてしまったのも事実。
何故そんなことになったかと言いますと、一つはこれかな?と思っているんです。
それは、当時メインだった販売窓口。
電動ということで、従来とは異なる販路「大型家電量販店」で販売されました。もちろん、バイク屋さんが代理店となり販売した例も多くあるのですが、販売窓口、また、輸入元さんがバイクに特化した会社ではなかったりする車両もあって、商品自体の完成度や品質問題もあるけど、とにかくアフターサービスが上手くいってなかったと聞いています。
ガソリン車に比べ構造がシンプルとは言え公道を走る乗り物です。安全・安心・快適に使うためには定期的な点検整備は必須。家電量販店さんでは手の込んだ整備が難しかったことは想像に難くない。本来、長く使用できるはずの商品が短い期間で使い捨て状態。そんな経験をした方が次また電動車を購入するかと言えば・・・
ですよね!
だから我々は原点に立ち返りました。バイクはそのプロであるバイク屋さんに販売していただこう!当社にはそのリソースがあるじゃないか!!
当社は全国のバイク販売店様へパーツや用品の販売も行っており、お客様登録をさせていただいている業者様が9000店以上ございます。このお取引業者様をそのまま販売ネットワークとすることで、安心してGEV600に乗っていただける環境を整えました。
GEV600お取引実績のある販売店様をMAP上で表示
ただし、これにはまだまだ課題もあります、我々からはご契約販売店(バイク屋さん)へは車両を卸すことができます。ただし、これは販売窓口となっていただくショップ様のポリシーも関係してきます。お客様からは日々「どこのお店で買えますか?」というお問い合わせをいただきます。これまでに車両お取扱い実績のあるショップ様はWEBページに掲載をさせていただきMAPとあわせ検索をしていただけますが、お住いのエリアによってはまだまだ「近くに取扱い実績のある販売店がない」という場合もございます。
より多くのショップ様にお取扱いいただくために、我々もどんどん働きかけを行っていきますし、GEV自体の認知度向上にも努めていきます。全国のバイクショップ様、何卒よろしくお願いいたします。
最後。ガジェット(気の利いた小道具・電子機器)としての使い方の提案です。
電動車でみなさんが気にするであろうポイント、ナンバーワンが「航続距離」ではないでしょうか?ガソリン車のように途中で給油すれば復活するようなものではなく、「バッテリー切れ=走れない」という乗り物なので当然だと思います。
そんな電動車の課題でもあり最大のミソとも言えるのが出力×航続距離のバランス。ここが難しい!
バッテリーやモーター自体の性能差、これももちろんありますが、画期的なモノが発明でもされない限りその差は大きなものではありません。特に出力の限定される原付一種カテゴリーでは特に差別化が難しく、モーターに流す電気の強さや量とバッテリーの容量でおのずと車両のスペックは決まってきます。
リアハブモーター リアホイールにモーターが内蔵されるシンプルな仕様
簡単に言いますと・・・
出力が高い(パワーがある)と航続距離は短くなる
出力を抑えると航続距離は長くなる
容量の大きなバッテリーを搭載すれば価格が上がってしまう・・・
まぁ、言わずもがなというところですが。そんな制約の中、各社「味付け」を施すわけです。
さぁ、その味付けとは何ぞや?GEVの場合は、こうしました。
用途は通勤や通学。基本的にいつも同じ道、同じ距離を走ることが多い。
距離は単距離。日本自動車工業会の統計データを元に統計上の平均値である「一日8km、一週間で40km」に設定。その中で最大パワーでストレスなく走り続けられること。これを目標としました。
バッテリーの充電も毎日必要では煩わしい。三日に一度、週に二回であれば充電に関わるストレスも少ないのでは?と考え、月~水はそのまま使用、帰宅後充電をしていただき、木~土まで三日間利用し再び充電、日曜日はお休みで月曜から再び満充電でスタート。とそんな使い方をご提案しております。乗り手の体重や坂道の頻度など走行条件で前後はしますが、そういった条件を加味しても十分要件を達成できるよう余裕を持たせ味付けを施しました
GEV600のバッテリー 家庭用100Vコンセントから充電可能。車載状態でも充電可能です。
あ、そうそう、先程から「味付け」なんて表現していますが、これはモーターやバッテリーをコントロールするプログラムの設定です。モーターにはモーターをコントロールするユニットが、バッテリーにはバッテリーマネジメントシステムが、それぞれの制御を様々な条件でテストにテストを重ね最良のものに仕立て上げました。
スペックシートでは表現できない「使えてナンボ」の実用性を磨き上げております。これは手前味噌ですが自身アリ!電動スクーターに不向きな激坂を延々と登る登坂テスト、土砂降りの雨の中、バッテリーに制御がかかるような灼熱の酷暑日、デコボコのオフロード走行等々、実際に走行しないようなもの含め様々なシチュエーションでテストを繰り返しました。
私も、技術部門のスタッフと一緒にテストライダーとして改良開発に関わりました。体を張って開発を進めたこともあって自信を持って皆様にお勧めもできますし、GEVの対する愛着もハンパないっす!
そんな二輪四輪の垣根なく様々なサービスを行う我々プロトのフィルターをかけ作り上げた電動スクーターGEV600。この記事でちょっとでも興味が沸いていただけたなら嬉しいです。今回はプロローグということで(それにしては長くなっちゃいました)、これからはより掘り下げた内容でGEV600の魅力をお伝えできればと思っています。
皆様の日常にスマートに寄り添う新モビリティーGOCCIA GEV600
引き続きお付き合いください。
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