皆さんもご存知の様に、日本国内でも二輪車にABSブレーキの装着が義務化となりました。
新型車は2018年10月1日からの生産車が対象で、継続生産車では2021年10月1日からの生産車が対象となります。原付二種以上(51cc~)のクラスが対象との事ですが、原付二種の場合はABSではなく前後連動ブレーキ(CBS)でも可能だそうです。
そういえば、これらの対応が出来ず惜しまれつつファイナルモデルとして生産終了となった車両もありましたね。
そしてあまりこの手の話題に触れてはいけない原付一種はというと、この義務化は適応外との事です。なぜかは想像がつきそうな内容なんでしょうが、実際の所は何なのでしょうね。
ここではあえてコストアップや技術力、今後の将来性や採算が理由だとは思いたくありません。
なぜなら、
過去にホンダさんが原付一種の市販車へ搭載し、現実的な価格で実際に販売していたハズだから。
よくある話ですが、この時はまだ時代が早すぎたのでしょうか…
いやいや、
ならば改めて掘り起こしてみましょう。
それは、M.A.-C.ABS*ケーブル対応型電子制御式システム世界初の画期的なブレーキシステム。世界初ですよ、世界初!
そうだ、なぜ今この M.A.-C.ABS を復活させないんだ! 今こそその時が来たのでは!
「前・後輪連動ブレーキ」と「アンチロックブレーキ」を兼ねそなえたM.A.-C.(エムエーシー)ABS
M.A.-C.ABS とは
モーターアクチュエーテッド・コンバインド・ABS / モーター駆動式連動アンチロック・ブレーキ・システム の略
そして採用された車両は、25年前 1996年6月発売の HONDA DIO ST
型式はAF35だから、あのライブDIO ZX と同系なんですよ。
当時のメーカー希望小売価格は
ライブディオ ZX 169,000円
ライブディオ ST 199,000円
当時、30,000円も高かったので人気モデル ライブディオ ZXの影にかくれてしまい、残念ながらレアモデルの階段を踏む事に。
しかし、これ何がすごいって、フロントがディスクブレーキ、リアがドラムブレーキでありながABSとCBS(左ブレーキレバーのみ)を制御してるんですよ。
フロントブレーキレバーからワイヤーでケーブルダンバーを介し、前後輪連動ABSアクチュエータからフロントはキャリパーまで油圧で、リアはワイヤーでドラムブレーキを制御という何とも不思議な仕組みなのです。
だからフロントブレーキレバー部は油圧のブレーキマスターではないので、ブレーキホースはありません。アクチュエータからフロントキャリパーまでがブレーキホースを使用しています。
それでは M.A.-C.ABS の概要を簡単に、
〈HONDA プレスインフォメーション(FACT BOOK)より〉
①ECU
エレクロニックコントロールユニット。8bit-CPUとモーター駆動回路で構成。各種センサーからの信号で、前・後輪連動ブレーキやABSを制御。合わせて自己診断を含めたシステム全体のチェックも行います。
フロントパネル内に搭載されるECU NEC製。
②前・後輪連動ABSアクチュエータ
1つのモーターと2組の遊星ギヤ、システム作動時のみ1チャンネルを作動するための電磁ブレーキなどで構成され、モーターの回転方向と回転力を制御することで機能を発揮します。
③ケーブルダンパー
前・後輪連動ブレーキの作動ポイント検出機能。ABS操作時のレバー反力(キックバック)の軽減。アクチュエータやケーブル系などの作動状況の確認機能を受けもちます。
どちらも足元前方、フロア内に搭載。
④ABSインジケータランプ
システムの異常をライダーに知らせます。
前輪速度センサー
後輪速度センサー
両サイドには専用エンブレム
デカールではなく樹脂製でメッキ仕上げの立体専用エンブレム、この時代はコストかけてますねぇ。
25年前にこの新ブレーキシステムを、初心者から女性まで幅広いユーザー層に支持を得ている50ccのスクーターに搭載することで、ブレーキ操作に対する精神的な不安(車輪ロック)を少なくするとともに、このシステムの有用性をより多くのユーザーに提供しようとした事、そしてケーブル対応型の電子制御式としては世界で初めて量産二輪車に採用したホンダさんは、改めて凄いですね。